白ワイン(シャルドネ) ― 声を失った歌手の告白|BAR コトリノネ 第17話
ウォッカ ― 消えた写真の“もう一人”|BAR コトリノネ 第16話
アブサンは「幻覚の酒」と呼ばれる。
だが本当に人が見るのは、存在しないものではない。
見ないようにしてきた“自分自身”だ。
この夜、BAR コトリノネに現れた緑の影は、
恐怖でも狂気でもなかった。
限界まで抑圧された感情が、形を取って揺れただけだ。
現実から逃げるために人は幻を見るのではない。
逃げ続けられなくなったとき、
心は静かに真実を映し出す。

トコナ
幻を見たんじゃない。
見ないふりをしていた現実が、姿を変えただけだ。
アブサンは危うい酒だと言われる。
でも本当に危ういのは、
心の奥に溜め込んだ感情を、なかったことにし続けることだ。
緑の影は、警告じゃない。
「もう逃げられない」という、心からの最終通知だったのかもしれない。




コメント