
昼休み、どこのオフィス街でも見かける光景。
片手にスマホ、もう片方にコンビニ弁当。私もよく買うけれど、ふと思うんです。――この500円、どこに消えていくんだろう?
見た目は手頃、味もそこそこ。なのに「なぜこんなに安く作れるのか」、一方で「なぜ儲かるのか」。
今日はコンビニ弁当の原価と利益構造を、“表と裏の両面”から見ていきます。
安くて高い――その矛盾には、現代の食と物流のすべてが詰まっています。
第1章|原価率はおよそ35〜45%。材料費は意外に安い
コンビニ弁当の原価率は35〜45%前後が一般的。
つまり、500円の弁当なら食材コストは約175〜225円。
内訳は以下のようになります。
| 項目 | 原価目安 |
|---|---|
| 主食(米・麺) | 40〜60円 |
| 主菜(肉・魚) | 70〜100円 |
| 副菜・調味料 | 30〜50円 |
| 容器・包装 | 20〜30円 |
安い理由は、大量一括仕入れと規格統一。
1品あたりの仕入れ単価を極限まで下げ、
全国チェーンで均一化することで原価を抑えています。
第2章|製造と物流に潜む“隠れコスト”
原価が安くても、実際にコストを上げているのが製造と配送。
コンビニ弁当は、地域ごとのセントラルキッチンで作られ、
1日3回の配送(朝・昼・夜)で各店舗へ届けられます。
この間に発生するコストは、
- 工場稼働費
- 冷蔵・冷凍輸送費
- 配送スタッフの人件費
- 検査・品質管理費
これらが1個あたり約100〜120円を占めます。
つまり、弁当1つを届けるまでに、
“人とエネルギー”のコストがしっかり乗っているのです。
第3章|店舗側の取り分は実は薄い
よく「コンビニは儲かる」と言われますが、
弁当単体で見ると、実は**利益率は5〜10%**しかありません。
500円弁当のうち、
- メーカー・物流に300円
- 店舗原価(仕入+廃棄)150円
- 最終利益:約50円
という構造が多いです。
店舗の利益は「量」で支えるモデル。
1日数百個単位で売れて、ようやく利益が出ます。
あいの視点:
コンビニは“売れる仕組み”で稼ぐ。
1個の利益じゃなく、“1日の動線”で利益を設計してる。
第4章|廃棄ロスが最大のリスク
弁当ビジネスの最大の敵は「時間」です。
販売期限が短いため、
**廃棄ロス率は平均7〜10%**にもなります。
1店舗あたり、1日で数十個が破棄される計算。
これが店舗の利益を大きく削る要因です。
しかし、ここにも仕掛けがあります。
メーカーは“返品保証”を一部行っており、
廃棄分を販売価格に織り込む形でカバーしています。
つまり、私たちが払う500円の中には、
「捨てられる弁当の分」も含まれているのです。
コラム:大手コンビニで原価率の高いお弁当はどれ?
🍱 ① セブン‐イレブン「金のシリーズ 金の直火焼きハンバーグ」
原価率:約50〜55%(推定)
- 肉の比率と製造コストが圧倒的に高い。
- 合挽き肉は輸入冷凍ではなくチルド加工品+自社工場仕上げ。
- ソースは別釜で煮詰める方式を採用しており、
通常弁当の約1.5倍の製造手間がかかる。
📝あいのコメント:
「このシリーズは“弁当”じゃなく“商品ブランド”。
原価で勝負してるの、珍しいですよ。」
🍳 ② ローソン「まちかど厨房 厚切りとんかつ弁当」
原価率:約45〜50%(推定)
- 店舗内キッチンで調理する“セミオーダー型”。
- とんかつは冷凍ではなく店内揚げたて。
- パン粉・油・人件費がその場で発生するため、
製造原価+人件費が通常比で約1.4倍。
📝あいのコメント:
「“あたたかさ”に原価がのる。
人が動くと、それだけで価値が跳ね上がるんです。」
🍗 ③ ファミリーマート「ファミマプレミアム 特製ダブルチキン弁当」
原価率:約45%(推定)
- 鶏モモ+ムネの2種盛りで、たんぱく比率が高い。
- ソースやスパイス類も専用ブレンド。
- 食材コストが通常比+25%、
販売価格は税込598円とギリギリの設定。
📝あいのコメント:
「プレミアム路線は“食材原価でリピーターを取る”戦略。
コンビニ業界の中でも挑戦的な設計です。」
🔍 総評:
| チェーン | 商品名 | 原価率 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| セブン | 金の直火焼きハンバーグ | 約50〜55% | ブランドの顔/調理工程多い |
| ローソン | まちかど厨房 厚切りとんかつ弁当 | 約45〜50% | 店内調理・人件費込み |
| ファミマ | プレミアム ダブルチキン弁当 | 約45% | 食材×ボリューム型 |
📊 結論:
これらは「利益を削ってでも“品質で顧客をつかむ”」ための象徴商品。
つまり“原価率の高さ=ブランド投資”なんです。
コラム:大手コンビニで原価率の低いお弁当はどれ?
🥢 ① セブン‐イレブン「のり弁当」
原価率:約25〜30%(推定)
- ご飯・海苔・白身魚フライ・ちくわ天・きんぴら、材料はすべて大量仕入れ・冷凍対応可。
- 炊飯ラインが完全自動化され、1時間に数千食レベルの製造が可能。
- フライは国内外工場で一括製造→店舗加熱のみ。
- 価格は税込430円前後、食材原価は100円台後半〜200円弱。
📝あいのコメント:
「構成が地味=無駄がない。
‘原価を下げても満足感を出す設計力’がすごいんです。」
🍝 ② ローソン「ナポリタン(大盛)」
原価率:約25%前後
- 麺とソースを同一ライン加熱で仕上げる“ワンライン製造”。
- 材料:パスタ麺、ケチャップソース、ウインナーのみ。
- ソース原価は驚異の1食あたり20円台、麺も10円台/100g。
- 炭水化物比率で満腹感を演出、原価を抑えながら満足を売るモデル。
📝あいのコメント:
「“味は濃い・値段は軽い”。
これはコンビニ弁当の王道ロジック。」
🍙 ③ ファミリーマート「鮭ほぐし弁当」
原価率:約27〜30%(推定)
- 鮭は輸入冷凍を使用、ご飯比率が全体の7割以上。
- 漬物・卵焼き・昆布の副菜がバランス担当。
- 原価を抑える一方で、“家庭的見た目”で心理的満足を狙う設計。
- 価格は税込420円前後。
📝あいのコメント:
「“高級じゃない安心”が売り。
弁当の世界では、落ち着く味も立派な戦略です。」
💡 総評:
| チェーン | 商品名 | 原価率 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| セブン | のり弁当 | 約25〜30% | 安定構成・大量製造の王様 |
| ローソン | ナポリタン(大盛) | 約25% | 炭水化物中心・高回転型 |
| ファミマ | 鮭ほぐし弁当 | 約27〜30% | ご飯中心・家庭系満足型 |
📊 結論:
低原価弁当は「安い=手抜き」ではなく、
“満足感の最適化”を極めた結果。
これらはまさに**“原価率で勝負せず、心理で勝負する弁当”**です。
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第5章|“安くて高い”の正体は「時間と便利さの価値」
500円で温かい食事を数分で買える――
その便利さは、実は別の原価です。
- 時間を節約できる
- 調理・片付けが不要
- 品質が一定で安全
これらは“利便性コスト”。
金額換算できないが、時間を買っているのと同じ。
あいの一言:
コンビニ弁当は「料理」じゃなく「仕組み」。
私たちは“手間の外注費”を払ってるのかもしれない。
第6章|最近の傾向:健康志向と高付加価値化
近年は「高原価・高満足」型の弁当が増えています。
- セブン「金のシリーズ」:原価率50%超
- ローソン「まちかど厨房」:店舗調理で人件費増
- ファミマ「お母さん食堂」:リピーター獲得型のブランド戦略
つまり、価格を上げてでも“満足度”を高め、
リピート率で回収する仕組みにシフトしています。
原価率を上げる=顧客ロイヤルティを買う。
これが今の“新しい弁当経営”の考え方です。
❓FAQ
Q1. コンビニ弁当の平均原価率は?
A. 約35〜45%。食材よりも物流と人件費の比重が大きいです。
Q2. なぜ価格が一定なの?
A. 仕入れ単価を全国統一しているため、価格のバラつきが少ないからです。
Q3. 廃棄コストはどうしているの?
A. 返品保証や価格設定で一部吸収。私たちの購入価格に含まれています。
Q4. 高価格弁当は儲かる?
A. 原価率は高いですが、ブランド価値で長期的なリピートを狙う構造です。
Q5. もっと安くできないの?
A. 安くすると廃棄率が上がるため、現在の価格帯が“最適ライン”です。
🍵 まとめ

コンビニ弁当の原価は、平均で200円前後。
残りの300円は、人・物流・廃棄・利便性に消えています。
「安くて高い」と言われる理由は、安い材料で作られているのに、人と時間と仕組みを動かすコストが高いから。
原価を知ることで見えてくるのは、単なる“食べ物”ではなく“都市のインフラ”としての弁当。
あいは今日も、弁当を開けながら思います。この一口は、誰かの時間の結晶なんだ、と。

「コンビニ弁当の原価を見て“安い”と思う人は多い。でも、本当に安いのは“考える時間”の方さ。
温かいご飯に人の手がかかる限り、その仕組みはどこかで誰かが背負ってる。」




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